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第三の事件が起こった。
反対に事件を聞いて駆けつけた竹田女史は国領香代子の無事を知り、涙顔で国領を
なじると言えば、大門警部補もしかりで、逃がした、の一言を聞いた途端、竜崎の
山之内校長はおろおろするばかりで、進退伺いの文面でも考えているようだったし、
そこで一番冷静だったのが成田刑事だった。 大門警部補が目鯨を立てて、関係者
「そしたら竜崎君、今度はもうちょっとしぼった質問なんだけど、君が講堂内に駆
「けどね、刑事さん。 この学校には制服がありませんやろ。 という事は体育の
成田刑事がそんな笑いを浮かべながらうなずいたところへ、犯人の逃走経路を調べ
「は。 旧講堂裏口ですが、やはり外から施錠されておりました。 扉まわりの指
「犯人がここの生徒か、でなければ、まだ校内にいる可能性があるという訳か」
「それよりも、校長先生、学校指定のジャージを見せてもらえませんか」
「校長先生」
「刑事さん」
竜崎はいそいそと旧講堂を出て一階に降りた。 トイレの前を通り過ぎ、職員室に
古いと言っても、そんじょそこらの古さではない。 古本屋でもちょっとお目にか
「梅本吉兵衛嫡子覚書。 梅本……吉兵衛……吉成……」
竜崎はその名前に引っかかった。 中をぱらぱらとめくるが、判読不明なくらい崩
旧講堂に戻ると、用務員が成田刑事に話を聞かれているところで、その横で得居刑
襲われたのはやはり映研、演劇の合同活動のスタッフ。
警察は警戒中にもかかわらず、またやられたっとばかりに顔色を変えて飛んで来た
し、マスコミも目の色を変えて飛んで来た。 だが、被害者が三人マチコの三番目で
はなかったのと、襲われたといっても、今回は殺されていない。 一緒にいた竜崎と
竹内がほんの少しの間、目を放した隙に襲われ、それに気づいた二人が駆けつけて、
事件を未遂に終わらせている。 この事が、少しばかりマスコミに期待はずれの感を
与えたようだ。 勢いよく飛んで来た記者達の顔が事件の経過を知るにつけ、つまら
なさそうになっていったのだから。
抱きしめて喜んだ。 もっとも犯人を取り逃がしたと聞いてからは、ヒステリックに
竜崎と竹内にその失態をなじりだしたのだから、竜崎達にとってはいい迷惑だったが。
胸ぐらを掴んで、絞め上げるようにして、なじり続けた。 まったくあの状態で捕ま
えられるものなら捕まえてみろと言いたいところだが、じっと我慢の竜崎だった。
逃がした事を一番悔やんでいるのは竜崎自身なのだから。
松嶋教頭はますます深刻な顔をして黙り込んでいる。
に怒鳴り散らしている間に、まず現場の状況を確認し、犯人の逃走経路の調査を指示
し、そして、国領香代子が救急車に乗せられる前に要所を押さえた事情聴取を済ませ
ていたのだから。
それからゆっくりと竜崎、竹内と向いあった。
「……なるほどね、うん、大体のあらましは判った。 竜崎君、よく追いかけてく
れたね。 けど、あんまり無茶はしないでくれよ。 これだけの事件を起こしてる凶
悪犯だから、君の身にもしもの事があったら大変だ。 無茶はしないで、犯人逮捕は
警察にまかせておいてくれ」
成田刑事は微笑みを交えて言った。 生徒の身をあんじているというのは本心かど
うかは判らないが、大門警部補だとこうはいかない。
「せっかく追いつめたのに取り逃がしやがって。 なんでもっと早よ追いかけられ
へんかったんや。 おまえらみたいな民間人がそないに非協力的やから犯人がなかな
か捕まれへんのやないか。 もっと性根入れんかい!」
と、怒鳴り散らす。 もっとも竜崎にしてみれば、その方が感情がストレートに受
け止めれてありがたい。 成田刑事のような偽善的なものの言いいまわし方だと、裏
で何を考えているのか判らないだけ気持ちが悪い。 まあ、どっちもどっちで警察が
いけすかない事には変わりはないのだが。
けつけた時には、ほんの一瞬だけど、犯人の後ろ姿が見えた訳だね」
「ええ、あっという間にドアの向こうでしたけどね」
「うん、という事は、その前に講堂に飛び込んだ竹内君はもっと長い間犯人を見て
いた事になるんだけど、どうかな?」
成田刑事は竜崎に状況を確認してから竹内に質問を振った。 言い逃れは出来んぞ
というやり方だ。
「俺が講堂入口に入った時には、国領はもう完全に落とされて、床に崩れ落ちてい
くとこやったんですわ。 あの野郎、そのうえで、もう一度絞め直すか、別の方法で
とどめを刺すつもりやったんやないかな。 けど、そこへ俺が入っていったもんやか
ら、慌ててそのまま逃げて行きやがった」
「君に気がついたという事は、犯人は君の方を見たという事だな?」
「ああ、目が合いましたけどね」
「けど?」
「頭からすっぽりと、こう、なんていうか、頭巾みたいなもんを被ってましたから」
「頭巾? どんな?」
「頭巾というか、黒い色やったな、けど、それだけしか記憶にないです。 もう、
こっちはそれどころか、国領が殺された、と思いましたからね。 犯人を見定めるよ
り追いかけるより、まず国領をなんとかせないかん、と思うだけで精いっぱいやった」
その通りだろうと竜崎も思う。 とにかく、それまでの竹内は女に縁が無かった。
こんなゴリラみたいな男とつき合おうかという物好きな女なんて金輪際存在しないも
のと思っていたのだが、それが、何を思ったか、国領香代子が竹内に対して好意を持
ったのだから世の中は判らない。 自分が女に縁が無いというのは竹内自身充分に判
っていた筈だから、余計に国領の出現には嬉しいものがあっただろう。 その国領が
襲われ、生死すら危ないという状況だったのだから、冷静でいられる筈がない。 犯
人を追うどころか、その特徴を見定めるなんて事が出来る筈がないのだ。
「うん、そうだろうね。 まず人命が第一だから」
成田刑事も竹内の気持ちを察したように言うが、その目はそんな寛容な事を言って
なかった。
「けど、やっぱり近くで見ているんだから、もう少し、何かの特徴は憶えてないだ
ろうか? 頭巾と言ってもいろいろあるし」
「うーん、とにかく、布の袋というか、帽子の大きいのというか、頭からすっぽり
と被って、目のところに穴が開いてた、ていうくらいしかほんまに憶えてませんわ。
悔しいけど、見れんかった」
竹内は本当に悔しそうに言った。 だが今さらしかたのない事だ。
「そしたら、身体の特徴は? 身長はどのくらいだった?」
「俺が見た時はちょうど倒れた国領の上に乗りかかるように身体を屈めたとこやっ
たから、はっきりした背の高さは判らんけど……、あんまり高いことなかったと思う
な。 走って逃げるとこはもうほとんど見てないし」
「後ろ姿も見なかった?」
「申し訳ない。 国領しか見てなかった」
成田刑事は竹内の顔をじっと見ていたが、これは本当に見ていないかと、少し落胆
の色を見せた。
「そうか……。 竜崎君」
「は?」
成田刑事がまたいきなり質問を振ってきたので驚く。 おちおち考え事もしていら
れないと竜崎は心の中で舌打ちした。
「君はたとえ一瞬でも犯人の後ろ姿は見た訳だね?」
「ええ」
「その後ろ姿に見覚えはない?」
「あったら今頃こんなとこにおりませんね」
「……そうだね。 でも、何度も言うようだけど、犯人逮捕は警察に任せてくれよ」
「そうします」
口ではおとなしく言ったが、もちろん竜崎はそんな言葉に従うつもりはない。
「身体の特徴とかはどうだった? 肩幅が広かったとか、太っていたとか痩せてい
たとかは?」
「いや、一瞬の事やったから、そこまではとても見えませんでしたね」
「そう、そしたら、犯人はどんな格好をしてた?」
「紺色のジャージを着てましたね」
「ジャージ?」
「うちの学校で一応指定してる体育の時に着るジャージです」
「という事は犯人はここの生徒の着る服を着ていた訳か」
「そういう事になりますね」
「うーん」
成田刑事は難しい顔をして考え込んだが、それは意外、という表情はしなかった。
犯人はこの学校の生徒である、という確信を持っているからなのだろう。
時のジャージかて、一応指定のものはあるけど、なにもそれを絶対に着なあかんてい
う事はないんですわ。 皆、自分の好きな色のジャージを着たり、ジーパンとTシャ
ツでやったり、柔道着でやってもよろしいんや。 そやから、指定のて言うても、わ
ざわざこの学校特製のジャージを作ってる訳やなくて、既成品の中で一番無難なもの
を指定やていうてるだけです。 学校名が入ってる訳でもないし。 そやから、あん
なジャージ手に入れようと思たら、どこのスポーツ用品店でも手に入るし、反対にこ
この生徒であんなもんまともに着てるやつの方が少ないんやから、もし犯人が生徒や
ったとしたら、わざわざ足の付き易い格好するとも思えんのですけどね」
「なるほど、そしたら竜崎君は、犯人はこの学校の生徒じゃないという訳だ」
「希望ですよ、希望」
「そうか、判るよ、希望ね。 でも、可能性は高いと思うよ。 まず、ジャージだ
けどね、いくら市販されている既成品だといっても、わざわざそれを捜して買ってま
でするほどの変装だったとも思えない。 変装とかじゃなくて、元々その服装でいた
者の犯行だと考えた方が自然なんじゃないか?」
「もう下校時間のとっくに過ぎたあの時間にジャージ着て残ってたやつがいるとも
思ませんけどね。 余計に目立つ」
「なるほど、じゃ変装だとしても、手軽に身近にあるもので手早くやったという事
も考えられるだろう。 それだと、やはりそのジャージが身近にある生徒が犯人とし
て有力だと思うんだけど」
「あのジャージは生徒全員が持ってる訳やないし、ロッカーに入れてるやつもおれ
ば持って帰ってるやつもおるから、今日ジャージを持ってたやつに絞って調べたらす
ぐに犯人が判るかもしれんていう事ですか」
「もちろん、調べていくつもりだよ。 それから、竜崎君。 君は犯人を一瞬見た
だけだろう?」
「? そうですが」
竜崎は成田刑事が、今度は何を言い出したのだろうと、少し構えた。
「ほんの一瞬見ただけで、よく犯人の着ていたのがこの学校の指定のジャージだと
判ったね」
成田刑事の聴取には隙が無い。 竜崎は自分の言った言葉を振り返り、答えを練っ
た。
「視力が2,0ありましてね。 おまけに判断力も早い方ですから」
竜崎は自分の頭を指して言う。
「なるほど。 じゃ、それほど目がよくて判断力の早い君が、そこまで服装を特定
出来たのに、犯人の特徴は特定できてないなんてのは、ちょっと理解に苦しむんだけ
ど」
やはり痛いところを突いてくる。 竜崎としては答えにくいところだ。
「……ジャージっていうのは見慣れているからでしょう。 もし犯人が見慣れた人
間やったら一瞬見ただけでも判るやろうけど、見慣れてない人間やったから記憶に残
ってないのと思いますけど」
「なるほど、よく判る答えだ」
成田刑事にしてみても、この竜崎はやりずらい相手なのかもしれない。 作ってい
る笑顔が時々引き締まりそうになるのだから。
ていた山神刑事と得意刑事が戻ってきた。
「どうだった?」
成田刑事はその二人に気軽く聞いたが、山神刑事は竜崎と竹内がいるので、報告を
躊躇した。
「ああ、この二人はいいよ。 話してくれ」
成田刑事は聞かれても平気とばかりに促した。 やたら何でも秘密主義にしたがる
警察だが、成田刑事にしてみれば、聞かせるものは聞かせておいて、その上でさらに
それ以上のものを聞き出せた方が得策と踏んでいるのだろう。 守らなければならな
い秘密はもっと他にある。
紋は現在検出中ですが、複数のものが出てきているようです。 目撃者は難しいよう
です。 もう下校時間はとっくに過ぎていまして、校内には生徒はほとんど残ってい
ない状態でしたから。 裏門は閉まっており、開いていたのは正門だけでしたが、正
門横の事務室にいた事務員の話しでは生徒以外の人間は見ていないとの事です」
山神刑事が事務員の話しとして、生徒以外の人間は見なかったと言ったところで、
成田刑事は竜崎をちらりと見た。
「は、まだ捜査員が校内をくまなく捜査中です」
「裏門脇の金網の穴は?」
成田刑事は依然の捜査ポイントを確認した。
「もう修理されていまして、穴はありません」
山神刑事は抜かりなく確認済みとばかりに言う。
「あの、先日の刑事さんのご指摘で、すぐに修理をいたしました」
山之内校長は学校としてもやるべき事はやっているとばかりに言った。
「そうですか」
「成田さん」
得意刑事が言った。
「ん?」
「正門も今は閉めてもらってます。 おそらく犯人はまだこの校内にいる筈ですか
ら、まだ校内に残っている全員を署に連行して聴取してはどうですか」
成田刑事は大門警部補譲りの強引な手口を申告した。 大門警部補は仏頂面してふ
んぞりかえったまま動かない。
「いくら門を全部閉めてあっても出ようと思えば、塀を乗り越えるとかどこかの金
網に穴を開けるとかして簡単に出てしまえるよ。 それに、証拠も無しに容疑者をや
たら署に引っ張るようなやりくちは私は嫌いだ」
成田刑事は冷徹な表情で言い切った。 当然、大門警部補の顔はそっぽを向いたま
まである。
「は、はい。 ええと、どこかにあったかな。 教頭先生、職員室にありましたか
な?」
「体育科の職員室に行けばあると思いますが」
「得居君、ちょっと取ってきてくれ」
成田刑事はさも当然と所轄刑事を顎で使った。 得居刑事はやはり大門警部補ゆず
りの仏頂面で走って行った。
「山神、聞込みを学校周辺に広げよう。 塀を乗り越えて出て行く者を見た人はい
ないか、ジャージを着たまま学校から出た人間はいなかったかを重点的に聞き込んで
くれ。 男女を問わずにな」
「はっ」
山神刑事も走って出て行った。
成田刑事はまたいきなり質問を振った。
「は、はい?」
校長もとまどっている。
「旧講堂の裏口の鍵はやはり用務員室の鍵庫の中ですか?」
「はい。 他の鍵とまったく同じです」
「じゃあ、用事があって鍵を持ち出した者なら誰でも合鍵を作ろうと思えば作れる
訳ですね」
「は、こんな事件が起こるとは思いもよらなかったものですから、持ち出し記録な
どはつけておりませんでしたので……。 まことに申し訳ございません」
校長は自分の失策を問われたのかとばかりに、どっと冷汗を流して答えた。
「いや、別に責めている訳じゃないんです。 学校内で殺人事件が起こるなんて事
は普通なら予想すら出来ない事なんですから。 それじゃ、鍵庫はいつでも開いてい
る訳ですか?」
「あ、いえ、いつもは用務員が鍵庫を管理していまして、鍵に用のある者は用務員
にどこそこの鍵が欲しいと言ってから、用務員に鍵を出してもらうのです。 だから、
用務員のいない時には鍵の持ち出しはできません」
「反対に、用務員がいない時に鍵を持ち出せば判らないんじゃないですか?」
「いえ、用務員が鍵庫を離れる時には鍵庫に鍵をかけて、その鍵を携帯する事にな
っています」
山之内校長は、落度はありませんとばかりに胸を張って言ったが、実際に落度が起
こっているという事を忘れているのがおかしい。
「そうすると用務員というのはかなり信用された人物なんですね」
「はい、厳選しておりますので」
「一応、事情聴取させていただきますか」
「はい、どうぞ。 呼んできましょうか」
「お願いします」
校長なのだから、誰かに指示をすればいいものを、自身ががいそいそと出て行った。
竜崎が言った。
「何か?」
竜崎がまた何かひっかかるような事でも言うのかと思って成田刑事は期待を込めて
返した、が、
「トイレに行ってよろしいか」
と言ったのでずるりと前に落ちそうになった。 相手が高校生ならこのくらいのパ
フォーマンスも必要だと思っているのだろうが、竜崎から見れば臭い演技以外の何物
にも見えない。
「あ、ああ、いいよ」
はよ行ってこいとばかりにそっぽを向いた。
行く。 そこの引き違い戸を開けて中を覗いて見ると、案の定誰もいない。 放課後
でほとんどの教師は帰ってしまっているし、残っていた教師も事件の騒ぎで旧講堂の
方へ行ってしまっている。 騒ぎで動転して施錠を忘れてしまっているのだ。
「不用心な事で」
と言いながら竜崎は中に入り、戸を閉めた。 まっすぐに松嶋の席に向かう。 竜
崎は何のためらいもなく、席の後ろにある松嶋のロッカーを開けた。
ひとしきり中を探るが、目的の物は見つからない。 それではと今度はデスクの中
を調べる。 引出しを全部開けて見るが、やはり、無い。 これはやはり見込み違い
か、用心深い松嶋ならさも当然と言うか、くそっ、と思っていたところ、ふと、古い
本が目に入った。
かれないほどの古さ、機械製本の技術が確立するずっと以前の、和紙を糸で閉じた古
書だ。 肩綴じ本とでも言うのだろうか。 おそらく明治よりまだはるかに昔の物だ
ろうと思われる。
何故、竜崎がその本に目を付けたのかと言うと、松嶋は建築科であり、歴史に携わ
る事がないのに、というのもあるが、それよりも、その表紙に書かれてある文字に引
かれたからだった。
した筆書き文字が並んでいる。 竜崎程度の学力ですらすらと読めるようなしろもの
ではなかった。
「あの梅本の御先祖様か?」
竜崎はその本を上着の中に隠し、もう一度デスクの中を探ったが、もう何も出てき
そうもなかったので、引出しを閉め、職員室を出た。
事が見覚えのあるジャージを持ってぽつねんと立っているところだった。
「長かったじゃないか」
成田刑事は一応竜崎に声をかけた。
「うんこでしてね」
竜崎もさらりとかわしておく。
「刑事さん」
今度は竹内が言った。
「国領の見舞に行ってやりたいんですけど、帰ってよろしいでしょうか?」
「ああ、そうだね。 心配だろうしね。 ええと、もう聞く事はなかったかな。
うん、いいよ、行ってあげて。 病院にも署の者がいると思うけど」
大門警部補などとは違い、成田刑事は割と簡単に許可した。 大体聞くところし聞
いたし、後は足で成果を拾うだけだというところだろうか。
「そしたら、竜崎よ、行こか」
「ああ」
竜崎と竹内は腕を組んで憮然としっぱなしの大門警部補の前を悠然と通って、旧講
堂を出た。